BoBo袋

かなり前に僕はある女の子から、こんな事を言われました。
「死んだ女より可哀想なのは、忘れられた女です」
この言葉が忘れられません。
確か、何かの映画の台詞なのでしょうが、果たしてどんな物語なのか、チョットわかりません。
ただ、僕は、この言葉を聞いてから「人を忘れない」と言う事を大切にしてきました。
忘れられると言う事は死ぬより悲しい事なのですから。
ただねぇ・・・・、加齢のせいなのか、元々物覚えが悪いのか？けっこう忘れているのですよねぇ。
月日を隔てて久々に再会して「ぼぼ♂さん、久し振り！」なんて言われても「どちら様でしたっけ？」なんて事が度々ある訳です。
そんな「どちら様でしたっけ？」な女の子と、チョッピリ食事しました。
お話をしているうちに記憶が蘇ってきまして「あ～あ～、そんな事もあったけ」なんて事になりまして、なにか懐かしい気持ちになりましたネ。
「そ～言えば、この前、お掃除してたら厚底ブーツが出てきてさぁ～」
なんと、厚底ブーツ！
いやぁ～、そんなのありましたねぇ。
今でも厚底ブーツは存在するのでしょうか？
「あるにはあるけど、前みたいに履いている女の子は少ないね、時代遅れだし、私は厚底ブーツは卒業したヨ」
その、掃除して出てきた厚底ブーツはどうしたの？
「捨てちゃった」
そうか・・・、厚底ブーツは捨てられたのか。
忘れ去られた女の子と、捨てられた厚底ブーツが、僕にはダブって見えて、少し物悲しい気持ちになりました。
彼女の事を、僕はしばらくは記憶に留めておこう、と思いました。